仙台新港クリーンアップ・ウォーク2025|実施レポート
2025/09/05
往復2Kmの砂浜をウォーキング&クリーンアップ。産学官民の立場を超えて集まった参加者は130人超!
猛暑続きの合間の曇り空、穏やかな運動日和。サーファーで賑わう海岸に参加者が続々集合。
早朝から多くのサーファーで賑わう休日の仙台新港。昨年に引き続き、ここで開催されているのが、砂浜を散歩しながらビーチクリーニングを行うボランティアイベント『仙台新港クリーンアップ・ウォーキング2025』。主催である「せんだい健康づくり推進協議会」の呼びかけのもと、【健康づくり×環境保全活動×市民交流】の趣旨に共感する個人や団体が集まって開催されています。今回は地元住民はもちろん、ベガルタ仙台など協賛企業グループや学生ボランティアなど含めて130名以上の参加者がイベントに参加しました。



9:00
梅雨にも関わらず日中の最高気温が30℃を超える猛暑日が続いていた仙台。イベント当日の天候は薄曇りで、気温も湿度も穏やかなお出かけ日和に。誰よりも早く会場に到着して、テント設営や受付業務を率先して行なっているのは、仙台市内の学生クリエイティブ集団「CARAV@N」のメンバーたち。イベント関係者やスポンサー企業の大人たちが目を見張るテキパキとした動きで、次々に会場準備が進んでいきます。 集合時間が近づくに連れ、会場の受付テント周りには協賛企業や団体グループ、一般参加の市民、学生ボランティアなどが続々と到着。受付では軍手やゴミバサミなどのクリーンナップ用具一式と、イベント中の歩数を測るための万歩計を配布。また参加無料のイベントにも関わらず、スポンサーであるベガルタ仙台のイベント限定Tシャツや、クリーンアップ・ウォーキングオリジナルTシャツが手渡され、さっそく多くの参加者が限定Tシャツに着替えて開会式までの時間を過ごしていました。




10:10
東北大学公衆衛生学の教授である寳澤教授の挨拶から始まった開会式。「ウォーキングによるフレイル予防と健康寿命」について貴重なアドバイスをいただきました。続いて仙台市健康福祉局担当者の挨拶、そしてベガルタ仙台ビーチクリーンアッププロジェクトパートナー企業や、現場に駆けつけてくれた元ベガルタ仙台選手の富田晋吾さんの紹介をはじめ、イベント運営を支えてくださる協賛企業と団体様のご紹介へと進んでいきました。 最後はセントラルフィットネスクラブ24の安藤店⻑がインストラクターとなり、代謝を高める準備運動を行なっていきました。特に普段デスクワークが多い参加者にとっては、ウォーキング前のケガ防止にもなる大切な工程。「実は潮風にはリラックス効果があって、ホルモンバランスを整えてくれる効果もあるんですよ」など、健康にまつわるレクチャーも交えながらストレッチやスクワットを行い、少しずつ運動に適した体に整えていきました。




10:25
参加者全員による掛け声を合図に、いよいよクリーンアップ・ウォーキングがスタート!ゴミを拾うのは受付テントから南に1kmほどにある「七北田川堤防」を折り返す往復2kmの砂浜エリア。ざっと見渡してもゴミがあるようには見えないものの、いざ歩き始めるとペットボトル・プラスチックの端材・ビニール素材の廃棄物がそこかしこに見つかります。他にも外国語が印刷されたパッケージ、謎の缶、珍しいデザインのビンetc.「なぜこんなゴミが砂浜に?」という珍しいゴミを回収することに夢中になっている方も多く見受けられました。 特に三陸の海で特徴的なゴミが「豆管」と呼ばれる2cmほどのプラスチック製の管。牡蠣やホタテの養殖場から海を漂流してくるゴミで、近年は景観を損ねるだけではなく、海洋生態系にも影響を及ぼすとして問題視されています。子どもたちにとっては「豆管集め」が一番のお楽しみで、ゴミと一緒に豆管を集める「豆管コレクター」が誕生していました。








11:00
開始から30分を超えると、スタート時はぺたんこだったゴミ袋が回収したゴミでいっぱいに。震災直後からビーチクリーンに参加してきたという、地元の参加者に話を聞くと「10年ほど前には、津波被害で流れ着いた家電や家具なんか廃棄物もありましたよ。今は目立ったゴミはなくなりましたけど、大きさに関係なく海のゴミが減ることはないですね」とのこと。この方はイベントの有無に関わらず、ライフワークとしてゴミ拾い活動を続けていくそうです。 姿勢良く歩くセントラルフィットネスクラブのスタッフさんは「砂浜は平面ではなく凹凸がある。そこをまっすぐ歩くということは、体幹を鍛える絶好のトレーニングなんです」と話してくれました。お揃いに限定ベガルタTシャツを着た親子連れの参加者は「子どもたちは貝殻探しに夢中で楽しんでますよ。普段海に来ないから珍しいんでしょうね。」とのこと。実際に砂浜には細かな海洋ゴミに紛れて、美しい色や形の貝殻もたくさん埋まっています。親子連れにとっては宝探し的な楽しみ方もあるようです。 ゴミ拾いの途中でイベントとは別に砂浜を掘るグループと出会い話を聞いたところ、日本では絶滅危惧種の『スナガニ』を探す活動をしているという。「震災をきっかけに一度全くいなくなったんですが、この海岸にも数年前からスナガニが見つかるようになったんですよ」とのこと。震災から十数年が経ち、確実に仙台新港の水質環境が良くなっている証拠を教えてくれました。 多様な立場と価値観を持った市民たちが、各々の楽しみ方で参加する「クリーンアップ・ウォーキング」。スタートから約1時間が経ち、そろそろ集合の時間が近づいてきました。








1時間ほどでゴミ約30袋+大量の粗大ゴミを回収。 最後は笑顔いっぱいの記念撮影でお疲れ様でした!
11:20
大きく膨らんだゴミ袋を持って、続々とゴールする参加者の皆さん。ゴールした後はWEBアンケートや万歩計の歩数などをモバイルに入力して任務終了。集まったゴミは回収しやすいように、CARAV@Nのメンバーが丁寧に分別。わずか1時間のクリーンアップ・ウォーキングで、大サイズのゴミ袋が約30袋+養殖用ブイなど大きな廃棄物が大量に集まっていました。 「お疲れ様でした〜」「ありがとうございました〜」。ゴール付近では参加者同士がねぎらいの言葉をかけ合い、イベントを通してスタート前とは違う一体感が生まれている様子。最後は参加者と運営スタッフが全員集合して記念撮影。穏やかな天候にも恵まれて怪我や熱中症のトラブルもなく、無事にイベントの全工程を終えることができました。後日アンケート結果を集計したところ「また参加してみたい」と答えた方が全体の8割以上という結果に。来年の開催はもちろん、他会場での開催の可能性にも繋がる成果となりました。また来年の夏、仙台新港でお会いしましょう。皆さんお疲れ様でした。








参加者インタビュー
〈お子様連れファミリー〉 「いつも砂浜は車から眺める程度なので、参加前は本当にゴミがあるのかなと思ってました。ただ歩いてみると意外と細かいゴミがたくさんあってびっくりしました。砂浜を歩くことがないので、いい運動になりました。」 〈毎回参加している地元協賛企業グループ〉 「毎回往復2kmって長いなって思うんですけど、ゴミ拾いながらだとあっという間ですね。『ちょっと砂浜歩いてゴミ拾っていくか?』みたいな会話が日常になってもいいのかなって思います。」 〈元ベガルタ仙台選手・富田さん〉 「シーズン前のキャンプで砂浜を走るトレーニングはありましたけど、普段砂浜を歩くことはないのでいい運動になりました。アスファルトよりも体への衝撃が少なく足への負担も少ないので、砂浜を散歩することは足腰にもいいと思います。」 〈セントラルフィットネスクラブ24スタッフ〉 「ウォーキングは3日坊主だと効果がないだろうと思われがちです。自分は今回のイベントだけで4000歩ほど歩いてますので、3日間続いたら相当な運動効果があるはずです。そもそも“健康”の定義は、カラダだけじゃなく心の状態も含みます。このようなボランティアイベントに参加することで自己肯定感も上がりますし、社会的な充足感が得られます。つまり心身ともに健康的な状態をつくりだすことに繋がるんですよ。」 〈仙台市職員〉 「今回で3回目の参加ですけど、回を増すごとに参加者が増えていてすごく嬉しいです。仕事として頼まれてやるわけではなくて、市民活動として自主的にやることに意義がありますからね。仙台新港だけではなく、他の場所でもこういう活動を広げていけたらと考えています。」